府中家具・飛騨家具を探る

FUCHU TENJIKANで取り扱う2大ブランドについて

「FUCHU TENJIKAN」(府中展示館)で取り扱う2大家具ブランド「府中家具」「飛騨家具」。ここでは、それぞれの製品が持つ特徴について詳しくご紹介します。なおFUCHU TENJIKANは、福山の複合商業施設「HOLM230」の北館(1F/2F)に出店している(株)府中家具プロデュースのショップです。

箱もの家具の産地 府中家具

箱もの家具の産地 府中家具

府中家具を生み、育んだ、箱もの家具の名産地・広島県府中市。その歴史について紐解きます。

歴史

歴史

FUCHU TENJIKANを運営する(株)府中家具。そのルーツは、箪笥(タンス)などの「箱もの」と呼ばれる家具の産地として名高い広島県府中市にあります。この地で実際に箪笥づくりが始まったのは、今から300年も昔のこと。18世紀初頭の宝永年間に内山円三(うちやまえんぞう)という人物が大阪で製法を習得し、起業後に工房をおこしたといわれています。

府中が家具産地として全国から一目置かれるようになるのは、大正時代。第一次世界大戦後の好景気で家具の需要が急激に高まり、活況の中で箪笥職人の数も増えていったそうです。事実、その頃になると、現在の鵜飼町を中心に百を超える箪笥職人が工房を構えました。界隈では早朝から夜半過ぎまで、ノミやカンナの音が途切れることはなかったとか。

府中の家具が転換期を迎えたのは第二次大戦後。他産地に先駆けて「婚礼家具セット」を世に出したことがきっかけでした。やがて高度経済成長期が訪れると、より高級な家具への需要が高まります。団塊の世代と呼ばれる人たちが結婚適齢期を迎えた昭和40年代後半には、この婚礼家具セットが爆発的なヒット商品に。産地の発展を大きく後押ししました。

府中の家具づくりはその後も順調に成長。家具製作のコンクールで何度も優勝、上位入賞を果たすなど、その名声を確実なものとしていきます。(株)府中家具は、そんな箪笥の名産地・府中で産声を上げた家具製造・販売会社です。

府中家具の特徴

素材・技術・塗りが違う──府中の家具が全国の産地・工房から一目置かれる理由はここにあります。

1.厳選した「素材」選びと十分な乾燥

1.厳選した「素材」選びと十分な乾燥

品質のよい家具は、例外なく高品質な素材「銘木」から生まれます。素性のよい原木の持ち味を最大限生かすために、長い歳月をかけて天然乾燥。反りや狂いが生じにくいよう、木材をしっかりと寝かせ、落ち着かせたものを家具に仕立てます。

2.受け継がれてきた「伝統技法」

価格の安さを前面に押し出している量産品の家具と、府中家具の製品は品質が大きく異なります。まず、永く使い続けてもガタが来たり、少々のことでは壊れたりしないのが府中の家具。300年以上の歴史を経て、脈々と受け継がれてきた職人技が細部にまで行き届いているからです。典型的なのが、引き出しの接合部。釘やビスを一つとして使うことなく、木材無垢板同士をガッチリと篏合(かんごう)する「蟻組み(ありぐみ)」と呼ばれる伝統技法が取り入れられています。もちろん、独特の技巧はこれだけにとどまりません。長年の使用に耐える府中家具の強さ・丈夫さは、こうした技術の上に成り立っています。

3.家具の仕上がりを決める「塗り」工程

家具の品質を決めるもう一つの要素は、「塗り」と呼ばれる工程の良し悪し。優れた職人の手による塗装は、木目の風合いや深みを際立たせ、将来にわたってキズや変色を防ぎます。府中の家具メーカーの職人たちは、つねに互いの腕を競い合い、この塗装や仕上げでも他にはない品質を生み出しています。

府中家具はこんな方にこそオススメ

「部屋のサイズに合わせてスペースの無駄がなく収納家具をつくりたい」「木製のキッチンが欲しい」「自分仕様の本棚が欲しい」──それなら、府中家具を強くおすすめします。

品質にこだわりたい方

木質感がダイレクトに伝わる仕上げの上質さと頑丈な箱の家具をつくる技術の高さは、毎日の引き出しや扉の開け閉めなどで実感できます。しっかりと蟻組で組まれた引き出しはガタつきにくく長年使っても殆ど様子は変わりません。

現代の府中家具
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脚もの家具の産地 飛騨家具

脚もの家具の産地 飛騨家具

箱もの家具の名産地が広島府中なら、椅子、テーブルなど「脚もの」と呼ばれる家具で名高いのが岐阜県飛騨地方です。FUCHU TENJIKANでは、この飛騨家具も豊富に取り揃えています。

歴史

飛騨の家具生産が始まったのは1920年(大正9)。アルプス山麓などに産生する豊富なブナに着目した地元の有力者たちが、資金を出し合って家具製造会社を起業。これが飛騨家具の出発点になりました。

実際に家具製作に携わったのは、日本の伝統的な家具を作る職人たち。しかし飛騨で彼らがまず取り組んだのは、当時日本にもたらされたばかりの椅子でした。それまで畳上での生活が当たり前で、椅子など見たこともなかった職人が、木に関する経験と知識だけで試行錯誤。2年をかけて一つの製品を世に送り出しました。それが飛騨の伝統技法である「春慶塗」(しゅんけいぬり)が施された美しい椅子です。

当初こそドイツ製のトーネットチェアを模倣したものでしたが、やがてオリジナルの折りたたみ椅子やサロンチェアを次々と考案・製品化していきました。飛騨で生み出された良質の家具は、昭和初期の日本に「モダンリビング」という新たな生活様式を定着させる原動力となっていきます。やがて、飛騨の家具は海外からも注目されはじめ、かつて製作の手本にした欧米への輸出が盛んに。

第二次大戦後、飛騨の家具はその優れた意匠と品質でブランドを確立。現在に至るまで数々のヒット商品・ロングセラーを世に送り出し、日本人の生活にすっかり溶け込みました。さらに未利用資源や廃材の活用など、エコ時代にふさわしい取り組みも積極的に実施。飛騨の家具はますますグローバルな存在感を高めています。

飛騨家具の特徴

飛騨家具の特徴

飛騨高山の伝統技法と西洋のデザインとの融合

飛騨の家具は、当初はドイツのトーネットチェア模倣しながら、木の曲げ加工を行っていました。しかしその後は職人の創意工夫で、独自の技法による椅子づくりを定着。やがて日本にモダンリビングの習慣が根付いてくると、精力的に西欧のデザインを取り入れていくようになりました。飛騨高山で育まれた伝統技法と西洋のデザインが融合した姿が、今の飛騨家具と言えます。

廃材や未利用資源を活用した家具

飛騨の家具づくりは、アルプス山麓に多く産生していたブナを主要な資源として発展してきました。そして現在では、省資源・環境保護の観点から、廃材や未利用資源となった杉材を積極的に活用。森林資源の維持・保存に貢献しています。こうして生み出された家具も、飛騨ブランドの名に恥じない高品質を備えています。

ロングライフなものづくりを目指す10年保証

「愛着のある家具を安心して永く使ってほしい」──この思いから、一定の基準をクリアした飛騨で作られた家具には、木部に関して10年保証が付いています。しかも製作過程の不備などで生じた破損は無償修理の対象となります。産地の品質に対する自信がうかがえます。

現代の飛騨家具
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